最愛の彼が自分を殺しに来る夢

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私が心療内科を受診した切っ掛けの一つに、同棲中の彼氏が自分を殺しに来る夢を見たことがある。

軽度のうつであることを受け入れて、休養を決めた今となっては笑い話、ネタとして話すことができるけれど、その時は色々な意味で怖くて仕方なかった。

 

働き始めた頃から、時々眠れない期間や悪夢を見る期間があった。

そういう時によく見る夢は、あまりグロテスクでない感じのCGっぽい大きな虫、モンスターのようなものが動いているだけの映像で、恐怖や驚きでハッと目が覚めてからも部屋の天井の隅に見えてしばらく消えないのだ。

 

30年以上親元から離れなかった私が、今年に入って親元を離れ彼氏と同棲を始めた。

同時期に今の職場に転職をして、後になって考えると、この人生最大の環境の変化もストレスの大きな要因となって不眠や悪夢が続くようになったのだろうと思う。

 

ピークは、同棲中の彼氏が自分を殺しに来る夢を見た時だった。

私達はよくあるカップルの同棲と違ってメゾネット(二階建て)の1階と2階にそれぞれが自室を持って生活しており、寝る時も別々。よく「同棲と言うよりルームシェアだね」と言われる。

ある夜、眠りに入って20〜30分ほどした頃、彼が私の部屋に小さめの斧を持って入ってきた。

彼は斧を持ったまま、襲いかかってきたりはしなかったけれど、ベッドで横になっている私をジッと見て立っていて、このまま殺されると思った。

愛する彼が自分を殺しに来た時の恐怖、ショックで大声をあげて目を覚ましたけれど、目が覚めてからも同じ場所に彼は立っていて、その姿がしばらく脳裏に焼き付いて離れなかった。

大声をあげて飛び起きたので、何十秒かして現実の彼が部屋に駆けつけてしばらく頭を撫でたり抱きしめたりして安心させてくれた。

何とかその後もう一度眠りについて朝を迎えることができたけれど、愛の対象である彼がよく見る悪夢のモチーフとなってしまった事実やそうしてしまった自分の潜在的な真理に対する疑念、後ろ暗さ、恐怖心などが増幅した。

本当にこの人を愛しているのか、もしかしたら将来自分の方が彼を殺すのかもしれない、といった事まで考えるようになった。

 

この一件が切っ掛けとなり、友人のアドバイス心療内科を受診することにした。

それからは処方された睡眠薬で眠るようになり、悪夢を見る頻度も激減して、心身共に少し回復した。

 

彼とはその後特に関係が悪化することもなく、来年結婚を予定している。

あの夢を見た後色々考えた中には不思議と「これが予知夢で、現実の彼が自分を殺しに来るかもしれない」というものは無かった。

この世で今一番裏切られたら怖いもの、最も信頼しているもの、最愛の存在が私を脅かしに夢に出てくるほどの追い詰められた状況で、それほど休養すべきという自分の体からのサインだったということにしておく。

病んだ状態で結婚することへの不安もぬぐいきれはしないが、こんな状態になっても私を支えてくれている彼がベストなパートナーでなくて何なのかと改めて思うことができた一件となった。